ひとたび気づくと、なにやら違う光景が見えてくる……「意味がわかると怖い話」を紹介する連載です。

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●「笑うテディベア」

 新婚のY美さんの夫には、大事にしているクマのぬいぐるみがあった。

 一見、普通のテディベアだが、センサースピーカーが内蔵されていて、おなかを触ると笑い声をあげる、なかなか愛嬌のあるおもちゃだった。小学生のときの誕生日プレゼントで、何度か修理してもらっているそうで今でもちゃんと動く。新居ではリビングの棚に飾っていた。

 ふたりが新婚旅行から帰って1週間ほど経ったある日、夫のT哉さんが出張で2日間、家を空けた夜のことだ。真夜中、Y美さんはけたたましい笑い声に目を覚ました。

 キャハハハハハハハハハ

 ぬいぐるみの声だ。何かの拍子にセンサーが誤作動したらしい。びっくりした……Y美さんは、その晩は特に気にも留めずに再び眠りについた。

 だが次の夜も、Y美さんはぬいぐるみの笑い声に起こされた。2晩続くと、さすがに少し気味が悪い。声を止めるために、起き出して「それ」をしてからY美さんは床についた。

 昼間になると怖い気持ちも薄れ、「出張に連れて行ってもらえなくて拗ねてるのかな」なんて思えるようになった。帰って来たT哉さんにぬいぐるみのことを話し、一度見てもらおうということになった。

 そして夜。またY美さんは笑い声に目を覚ました。彼女はハッとしてリビングに向かった。

 キャハハハハハハハハハハハハハ

「Y美が言ってた通りだね。ちゃんと直してもらわなきゃ」

 起き出してきたT哉さんが言う。Y美さんは振り返り、震える声で「それ」を夫に告げた。

この子……電池入ってないのに笑ってる」

 前の晩、もう笑い声に起こされないようにとぬいぐるみの電池を抜いたのだ。

 パニックを起こすY美さんをT哉さんが何とかなだめた翌朝のこと、近所に住むT哉さんの姉のM子さんから電話があった。

 何事か話し込んでいるうちに、T哉さんが怒り出した。

「馬鹿なこと言ってんじゃねえよ。もう切るからな」

 M子さんは、T哉さん曰く「少々過保護なほど」弟を可愛がっていて、T哉さんもお姉ちゃん子だったので、彼女にそんなに語気を荒げるのを見たのは初めてだった。

 T哉さんは電話を切って「何でもない」と言うと、メーカーに持って行くからとぬいぐるみを抱えて出ていってしまった。

 夫の異様なさまにY美さんが唖然としていると、スマートフォンが鳴った。M子さんが、今度はY美さんの方にかけてきていた。

『家で何か変なことが起こってるでしょう?』

 電話に出た途端、そう言われてY美さんは絶句した。

『知り合いの霊能者の先生から電話があってね、「弟さんの身に危険が迫ってる」って言われたの。家の中の動物のカタチをしたモノに、悪い霊が入り込んでるって……ほら、T哉が大事にしてるぬいぐるみがあったでしょ? あれのことじゃないかしら』

 M子さんの声には、鬼気迫るものが感じられた。

『霊能者の先生が言うにはね、霊がモノの中にいるうちにお焚き上げした方が良いって。だからすぐ、ぬいぐるみをうちに送ってほしいの。さっきT哉にそう言ったら、「馬鹿なこと言うな」って怒られちゃったけど……私、ふたりが心配で』

 M子さんに、ぬいぐるみはT哉さんが持って行ってしまったと伝えると、彼女は狼狽した様子で、何とか送ってくれるよう説得してほしいと念を押された。

 言われるままに、Y美さんは何度かT哉さんに電話したが、電源を切っていてつながらなかった。「危険が迫っている」というM子さんの言葉を思い出し、事故にでも遭ってないかと気が気でなかった。

 夕方、知らない番号から電話があった。電話口の相手は、玩具会社の修理センターの者だと名乗った。T哉さんが今日、ぬいぐるみを持ち込んできた件で話があるという。

『改造されたのはご本人様ではないのですね?』

 男性は、ぬいぐるみの電源回路が一部延長され、予備電池につながっていて、メインの電池を抜いても稼働するようになっていたと説明した。

「でも一体誰が、なんでそんなことを?」

 戸惑うY美さんに電話口の男性は、

それなんですが、実は電池と一緒に……』

 ――ピンポーン。呼び鈴が鳴った。

●「笑うテディベア」解説

 ぬいぐるみの電源回路を改造したのは何者で、何の目的でそんなことをしたのでしょうか? ……そもそも、ぬいぐるみが電池を抜いても笑っていたのは霊現象ではなかったのですから、「知り合いの霊能者から言われたこと」として、〈Y美さん宅のぬいぐるみに妙なことが起こっていた〉事実をすらすらと言って聞かせ、執拗にぬいぐるみを回収しようとしたM子さんの行動の意味は、変わって見えるのではないでしょうか?

 そう、ぬいぐるみにはM子さんによって、盗聴器が仕掛けられていたのです。おそらくは、Y美さん夫妻がそろって家を空けていた新婚旅行の時にでも。盗聴器はぬいぐるみの電池から電力供給を受けて作動するようになっており、電池切れで電源が落ちて出力設定がリセットされないために予備電池が必要だったのです。

 M子さんが夫妻を盗聴していた理由――それは彼女が「少々、過保護なほどT哉さんを可愛がっていた」ことと無関係ではないのでしょう。

 怪しまれてぬいぐるみを調べられれば盗聴がバレてしまうと焦って、M子さんはありもしない霊能者の話をでっち上げ、証拠隠滅を図ろうとしたのです。最後のチャイムの音は、おそらく……。

●呪われたぬいぐるみといえば

 「呪われたぬいぐるみ」というと、多くの方が思い出すのは映画にもなった「アナベル」ででしょうか。映画では不気味なビスクドールでしたが、実物は布製の愛嬌のある少女のぬいぐるみ(絵本のキャラクター)です。

 アナベルを呪いの人形として「売り込んだ」心霊研究家のウォーレン夫妻は、金儲けのためさまざまな怪奇現象のでっち上げに関与したことが知られており、今日伝えられる「アナベルには悪霊が憑いていて、持ち主の少女を殺そうとした」という話も、数パーセントでも事実が含まれているかすら怪しいもので……。ただ夫妻が「悪魔祓(ばら)いした」と称したのちも、アナベルが安置されたケースを叩いたり彼女を放り投げたりした人が不幸な死に方をしたと言われています。

 もっとも、それらが仮に実話だったとして、それは単に「呪いの話を聞いたうえで、わざと呪われるようなことをパフォーマンスとしてやってみせるような、自分を勇敢に見せたい気持ちが強くやや思慮に欠けた人」は、無茶な運転をして交通事故に遭うといったトラブルに巻き込まれやすいだけのような気もしますが。

ねとらぼGirlSide/白樺香澄)

大事にしていたテディベアが、ある日……意味がわかると怖い話を紹介します


(出典 news.nicovideo.jp)

意味が分かると怖い話、意味がわかると怖い話(いみがわかるとこわいはなし)とは、一見するとごく普通の文章に見えるが、よく考えると恐怖が隠されている話のことである。略称は「意味怖(いみこわ)」。 ホラー小説の一種。普通に読んでいればなんてことないが、ひとたび気付くと違う光景が見えてくる話のこと。現在で
2キロバイト (243 語) - 2020年8月6日 (木) 13:16



(出典 image.itmedia.co.jp)


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<このニュースへのネットの反応>

電池が無いくだりを削ってストーリーを3分の2くらいにしてくれ


ティディベアという物には既にホラーとサスペンスとエロが付いていて要らぬ期待をしてしまう。